風日記soft6

普通の日記です。

詰将棋とは

歴 史

詰将棋がいつ発生したのかはよくわかっていない。 文書として残っていないので,もしかしたら 人類史が始まる以前から存在したのかもしれない。

もっとも現代の将棋ルールで残っている最古の文書は 詰将棋の本である。 そこらへんをネタに, 「『現代将棋』成立に関する一考察」という冗談を書いた。 ぜひ一読してもらいたい。

ともかく江戸時代初期から詰将棋は人類に親しまれてきた。 そして,名人の献上図式の伝統と日本人の より高みを目指す性癖が,「将棋無双」「将棋図巧」という 金字塔を打ち立てた。

将棋無双」は三代伊藤宗看,「将棋図巧」は伊藤看寿の作品集である。 この二人の兄弟によって,世界に誇れる日本の文化遺産は創られたのである。

大橋宗英により,名人が就位するに際して詰将棋作品集を献上するという 素晴らしい伝統は途切れることになる。 その後の封建制社会の崩壊,民主革命の流産などがあり, 将棋界も実力名人制となり,美しさよりも勝負に辛い時代がくる。 詰将棋などという,世間に何の役にも立たない純粋な文化に 心血を注ぐということは難しくなる。

しかし,いわゆるアマチュアの手により詰将棋の伝統は守り受け継がれていく。 その拠点となったのが,「将棋月報」そして戦後は「詰将棋パラダイス」と 「近代将棋」である。

近代将棋」は永井英明氏が創刊,塚田賞を制定し,数々の名作を 世に送り出してきた。現在は経営をきたろう氏(中野隆義氏)にかわったが, 縮小されたもののあいかわらず塚田賞は健在である。

詰将棋パラダイス」は鶴田諸兄氏が創刊,看寿賞を制定し 唯一の詰将棋専門誌として、詰将棋作家たちの心の灯火として輝きつづけてきた。 鶴田氏から柳原裕司氏が経営を引き継ぎ,現在は水上仁氏がその 任を負っている。

これらの雑誌を舞台に,数多くの詰将棋作家達が腕を磨き合い, 優れた作品が生み出されてきた。 そして,この文化を継承・発展させるのは, とりもなおさず今この乱れた文章を読んでくださっているあなたである。

ルール

全詰連は,かつて綿貫規約と呼ばれている規約を制定した。 しかし,現在はこの規約に厳密にしたがっている人は少ない。 各自がそれぞれの美意識(?)に忠実に, 創作や解答,解説をしているのである。

趣味の世界であるからそれでいいと思うのだが, 新しくこの世界に入って来ようという人にとっては それでは敷居が高くなってしまう。 そこで,現在,川崎弘氏を中心に, 新しい「詰将棋規約」が作り上げられつつある。

したがって以下に書くのは,私(風みどり)個人の 詰将棋に対する認識に他ならない。

他にも詰将棋のルールはあちこちにかかれているので ジャンプしてみて比較検討するのも面白いかもしれない。 (つまらないと思うが)

基本ルール
将棋のルールの下で, ある局面から,王手の連続で玉を詰みにいたらす手順を求める。
問題提示の補助ルール
玉方(後手)の持ち駒は特に断らない限り「残り駒全部」である。 玉方はこの持ち駒を間駒に用いる。
解答のための補助ルール
解答は玉がもっとも長い間(手数)生き残れるように 逃げた手順を1つ決定し,それを解答する。
創作のための補助ルール
解答の正解となる手順(作意手順)は唯一であること。(余詰の禁止)
また,持ち駒が残らないようにする。(手余りの禁止)

【追記】詰パラ98年11月号に新しい規約原案が発表された。 だれか紹介してくれないかなぁ。(私は規約はあまり好きでないので,めんどう)

【追記2】TETSUさんの規約案が発表された。 詰将棋規約TETSU案 2004年8月(@nifty 1999年11月より)

詰将棋のルール詰将棋メモ)も参考に。

組織

詰将棋パラダイスの読者は,全日本詰将棋連盟 の会員ということに 自動的になっていたように記憶している。 会員になったからどうだということはないので,よくわからない。

ただ,月刊詰将棋パラダイスは購読する一手である。 詰パラとかパラとかパラ会員 とか詰将棋を趣味していると必ず耳にする言葉であるはずだ。

編集スタッフの一員で,気鋭の作家でもある須藤氏によって 詰将棋パラダイス のHPが運営されている。 ジャンプするべし。

東京だったら 東京詰将棋工房 。 これはてっとりばやく,ジャンプするべし。

創棋会 伝統ある最強最大の詰将棋作家集団。たくさんの作品集を出版。関西。

ACT 98年6月の例会を最後に休会していたが、 某氏の半ば強制的な号令に因って、99年4月より復活した。 フェアリーばかりの会合という印象が強いが、最近は詰将棋も真面目に取り組 む、関西の若手中心の会合である。(文責:加登屋さん)

駿棋会  これもジャンプ。

香龍会 名古屋。

詰とうほく これは機関誌の名前でもあるらしい。浦壁和彦氏を中心に佐々木聡氏・原田章雄氏・佐原義利氏・北村憲一氏など強力メンバーが集っている。

チェスプロブレム協会 東京江戸川。小林敏樹氏が事務局として若島正氏が毎月 この会合のために上京するらしい。

楽しみ方

解いて楽しむ
人口的にはこれが一番多いと思われる。 ただ,解けないことも多いので,困ったものだ。 そういうときは。。。。
鑑賞して楽しむ
いい詰将棋は解答を並べているだけで楽しい。 私は高校生のときに図書館で「詰むや詰まざるや」に であったが,何度も何度も並べたものだ。
創って楽しむ
見る阿呆より踊る阿呆。 人に見せる価値はともかく, 自分の脳髄から生まれ出た作品は我が子のようにかわいい。 もしかしたら,歴史に名前を残せるかもしれない。
人に見せて楽しむ
自分の作品ができたら,人に見せたくなるのはこれ人情。 ただ,誉めてもらいたくて見せるのであって, けなされたくて見せるわけではない。 あたりまえだが,ちょっと詰将棋にはまると忘れがちになる。
集めて楽しむ
美術品や牛乳のふたを集めて喜ぶように, 詰将棋も気に入った作品を収集して楽しむことができる。 あまり有名でないのにすばらしい作品を見つけたときなど, ひとりでニヤニヤしていると気味悪がられるので 注意が必要。
その他の楽しみ方
楽しみ方は人それぞれ…
  • 人の作品の余詰を見つけて楽しむ 発表前だったら,感謝されるすばらしい楽しみ方。 発表後だったら,まぁ感謝されるけど, 自分の作品が載ったページが破かれてそこにぐちゃぐちゃって余詰順が 書かれていて,「こんな余詰もわからんのかアホ」と 切手の貼られていない手紙で送られてきたときは腹がたった。
  • 研究して論文を書いて楽しむ 村山隆治氏,川崎弘氏などの研究論文は創作を志す人のみでなく, 鑑賞する手引きとしても重要な文献だ。 最近では湯村光造氏の「歩詰手筋総まくり」, 護堂浩之氏の「新・馬子唄集」「木挽唄集」 「木遣唄集(「詰棋めいと」に連載中)」など, みなたいへんな労作。 これも,皆に喜ばれる楽しみ方(楽しんでいない?)