夏木立
夏木立は看寿の図巧10番に付けられた命名です。 「詰むや詰まざるや」(門脇氏)によると,この命名は 昭和25年頃に「将棋評論」誌で紹介された時につけられたとのことです。 夏木立趣向という分類を始めたのは大塚敏男氏によるものらしいです。 ここらへんに詳しい方,コメント欄で教えてくださると助かります。
守備駒を伴った追い趣向。これが夏木立趣向の定義です。 ただ,私としては「取れない捨てごまによる」と追加したい気持ちがあります。 図巧10番をはじめて並べたときに,感動したのがその点だったからです。
ここでは,通常の意味で「夏木立趣向」と呼ばれている作品を 集めてみました。
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夏木立趣向の元祖です。 ちょっと考えさせる序盤で趣向の舞台を造り, 楽しい趣向が展開され, 収束でその舞台をきれいに捌く……。 詰将棋演出法のひとつの典型がここにあります。
復路で飛車を打つ所は,現代ならば余詰と主張する人もいると思います。 当時は気にしなかったのかどうか…。 私にはわかりませんが,ちょっと惜しい所です。
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美しく楽しい作品です。 たいへん易しいので, 解図力に自信のない方でも 盤に並べて解いてみることをお薦めします。
4枚の銀の間を王さんが手品のように右に左に移動します。
山本 昭一
将棋天国1979-12/2003【怒涛】第44番
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究極までシェイプアップされた夏木立趣向。 完成品です。
舞玉第11番という先例はありますが,この可愛らしさは輝いています。
原図で展示していましたが,
TETSU氏より「初手21とで余詰」と教えていただきました。
本図は,「初手21飛,12玉」の2手を省いた図です。
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序盤を越せたら,趣向と収束は易しいです。 巨椋氏の作品を解くチャンスかも。
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これは私には難しい。 趣向も勘でわかりますが,変化がいちいちあります。 収束は例によってきれいに捌けます。
数年前に,作品集を準備されているという 噂を聞きました。 楽しみですね。